食べる時間も寝る時間もバラバラ......忙しい人の健康管理、これができれば大丈夫!

withドクターズ

見た目や容姿、体力の衰えが気になりはじめるILACY(アイラシイ)世代。「規則正しい生活がケアの基本」とは思いながらも、自分のことより仕事のことや家族のこと、子供のことに追われて、気付けば一日が終わっている......という方も多いのではないでしょうか。「何とかしなきゃ!」と焦って生活習慣の改善に取り組んでも、忙しい毎日の中では継続するのが難しく、逆にストレスを溜めることになりかねません。

忙しい人の健康管理のカギは、「できること、やりたいと思えることを選んで、楽しんで取り組む」こと。今回は、「人生の楽しみを増やすつもりで始めましょう」と呼びかける東京ミッドタウンクリニックの特別診察室長を務める内科医師・渡邉美和子先生に、すこやかな毎日を過ごすための考え方や、普段の生活で簡単に取り入れられる健康法について伺いました。

最初からパーフェクトを目指さない

――40代以降の女性たちは、自分のことが後回しになりがちな方も多いので、「健康管理しなきゃ」という気持ちだけが先走り、あれもこれもと欲張っては挫折......という方もいるようです。どんな考え方で臨めばいいのでしょうか。

健康管理というとさまざまなことが思い浮かびますが、基本は「食事」「運動」「睡眠」です。これらのサイクルをうまく回せば、多くの病気が予防できますし、時には治療にさえなる可能性があるのです。皆さんが思っているより、できることはとても多いんですよ。

でも、忙しい毎日の中でこの3つのすべてをパーフェクトにするのは不可能ですよね。途中で気持ちがなえて挫折してしまう人は、最初から無理してがんばりすぎているのかもしれません。

例えば食事なら、「何を食べるか」はもちろん「どう食べるか」「いつ食べるか」「どれくらい食べるか」など、さまざまな工夫の仕方があります。まずは、食べる時間に気を配ってみたり、ながら食いをやめてみたり、気軽にできるところから始めてみてください

――できることから少しずつでいいと思うと、気持ちが楽ですね。睡眠についてはいかがですか。

睡眠はさまざまな体の機能をリセットしたり、覚醒時に溜まった老廃物を排出する大切な時間。例えばアルツハイマー病の一因として知られるアミロイドβという蛋白は、睡眠中に脳外へ排出されることが知られており、睡眠不足により脳内のアミロイドβが高まってしまうという報告が最近の認知症学会でも注目を集めました。

免疫機能を高めるためにもメタボ対策にも睡眠は有効で、特にメタボに関しては睡眠時に空腹でなければ分泌されないホルモンがあることもわかってきています。夕食と就寝時間のあいだは空けるといった工夫も、睡眠でリセット機能を高めるには大切ですね。

睡眠時間については、その方の体質にもよるのですが、少なくとも5時間は確保していただきたいとお伝えしています。アルツハイマー病は皆さん気になるようで、先のアミロイドβのデトックスに最低限必要な時間が5時間、とお伝えするとインパクトがあるようです。

あとは、眠りにつく時間も大切。同じ短時間睡眠でも、「夜中の12時から5時」と「明け方3時から8時」では、体に与える影響が大きく異なります。シンデレラを目指して、12時にはベッドに入れるといいですね。寝ているだけで肌がきれいになったり、アルツハイマーのリスクが下がったりするわけですから、睡眠を有効活用しない手はないと思います。

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――夜中に起きてしまったり、寝覚めが悪かったりと、睡眠の質に悩む人も多くいます。

睡眠の質を悪化させる要因は幅広くありますが、案外見逃されていて影響が大きいのがアルコールです。

アルコールは適量であれば寝つきが良くなりますが、これは一時的で、必ず耐性が生じます。さらに、寝ている途中で覚醒に働くため、夜中の目覚めにつながって睡眠の質を低下させてしまうのです。

よく飲酒量が多い方が、ご自分の血液検査でγGTP(ガンマジーティーピー:アルコールに影響を受ける肝機能の指標となる値)を見て一喜一憂されていますが、肝機能はアルコールによる弊害のほんの一部です。肝臓よりむしろ脳梗塞や心筋梗塞、認知症につながる血管の老化への見えない影響のほうが大切に感じています。

かといって、仕事や育児を終えてからの晩酌が楽しみという人に、「お酒をやめて」というのは逆にストレスですよね。アルコールの弊害は「量」だけではなく「飲み方」にも関係があります。寝る直前まで飲み続ける習慣が、アルコール総量にも睡眠への悪影響にも害が大きいので、まずは「量」の制限ではなく「時間」の制限から始めてはいかがでしょうか。「少ししか飲んじゃダメ」より「夕食までは飲んでもOK」とすればハードルが下がりませんか。ダラダラ飲みを防ぐことで、結果的に量も減り、睡眠への悪影響も抑えられます。アルコールと同量以上の水分を同時に摂取することも有効です。

「やっていいこと」を見つけるのが長続きの秘訣

――自分にダメ出しをするより、「これならOK」というラインを見つけると良さそうですね。

私はいくつかの企業や学会と協力して健康的な食習慣の提供に取り組んでいるのですが、「食べて体にいいお菓子」の製作もその一つです。「これは食べちゃダメ」「あれは食べすぎないで」と制限するより、「おいしいから食べていたら、いつのまにか健康になった」と継続したくなる習慣を提供することが、「本当の健康」につながると考えているからです。食を通じておいしい、うれしいと感じることは人生の喜びであり、健康には欠かせないものです。

お菓子はダイエットの対極にある物のようですが、余分な脂質や過剰な糖分をなくして不足しがちな栄養素を補ってあげられるなら、それは食べたほうが体にいい食品になりますよね。逆に、無農薬野菜や有機野菜のような優等生食品でも、よく噛まずに食べればうまく消化できず、体に腐敗ガスが溜まって腸内環境は悪化、食品の良さがちっとも活かされません。

自分の生活で変えなければならないところを見つけたら、「やってはダメな禁止事項」でがまんを強いるのではなく、「やっていいこと」を見つけて体調の変化を実感し今以上に人生を楽しむつもりで取り組むのがおすすめです。

――運動は、どのように取り入れたらいいのでしょう。

ジムに行ったり、マラソンをしたりすることだけが運動ではありません。椅子に座って仕事をしているとき、ちょっと両足を上げるだけでも腹筋に効きます。座りっぱなしが一番良くないので、30分に1度は立つようにしましょう

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また、通勤や買い物のとき、できるだけ大股で速く歩くだけで太ももの筋肉が使われ、股関節も開くので、効率良くエネルギーを消費できます。ウォーキングに、歩くのと同じペースで走るスロージョグを組み合わせることもおすすめです。血管が刺激されて、エネルギーの消費量もウォーキングの倍以上になりますよ。

――先生が実践している健康法、エイジングケア方法があれば、ぜひ教えてください。

朝、目覚めてから体と心が動き出すまでの時間に、100円ショップで売っているような普通のゴムを八の字にして足に引っ掛け、股関節を開いて内転筋を鍛えるストレッチをしています。もうひとつは、歩くときに足の指を含む足裏全体を使って、大地をつかむように踏みしめることも心掛けていますね。どちらも簡単で、良いエクササイズになります。

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スポーツとしては、40歳になってからテニスと水泳を始めました。テニスは交流の範囲が広がって人とのつながりが増えましたし、水泳は肩こりと頭痛が改善されて、どちらも良い効果を感じています。

何より大切なのは、自分が「楽しい」「やりたい」と思えることを生活に取り入れるということですね。忙しい40代ですが、一般的には子供が手を離れたり、部下ができたりして、少しずつ自分の時間が持てるようになっていく時期でもあります。50歳になったときに理想的な運動習慣を実践できるよう、40代から自分のための時間とお金の使い方を模索していきましょう。


SUPERVISERこの記事を監修した人

渡邉先生

PROFILE

渡邉 美和子 (わたなべ みわこ) 医師

専門分野:内科・抗加齢医学

1994年 北里大学医学部卒業
慶應義塾大学内科学教室 入局。永寿総合病院勤務などを経て、2003年医療法人社団桃蹊会理事長、2007年マリーシアガーデンクリニック院長を経て、2010年より東京ミッドタウンクリニックへ。2011年東京ミッドタウンクリニック「特別診察室長」に就任。臨床の場で会員制医療における健康危機管理や医療相談に携わるほか、日本抗加齢医学会、日本内分泌学会をはじめ医学学会でのお弁当監修や企業との健康関連事業に取り組むなど、独自の食指導「安心で美味しい食の医療プロジェクト」にも力を入れている。

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※掲載している情報は、記事公開時点のものです。

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