「スーパーフード」は何がすごい?おすすめの取り入れ方と注意点

栄養価が高く、体に有効な成分を多く含む食品として知られる「スーパーフード」。明確な定義や、特定の食品を指す言葉ではないものの、1980年代に北米で注目されて以降、美や健康に敏感な人気女優やスーパーモデルなどがその人気を牽引し、日本でも広く認知されるようになりました。最近では一般のスーパーなどで見かける機会も増えたことから、チャレンジしてみたいと思っている人も多いのではないでしょうか。

今回は、スーパーフードを取り入れるにあたって知っておきたい効果効能や効率的な摂取方法、注意点などについて、東京ミッドタウンクリニックの特別診察室長であり、すべての人にプラスになる「ユニバーサルな食事」の提唱者でもある内科医師・渡邉美和子先生に伺いました。

美と健康に有効な成分を多く含むスーパーフード

――「スーパーフード」を摂取するメリットとは、どういったことなのでしょうか?

ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素が豊富で、若々しさをキープする、ホルモンバランスを整える、健康を維持するといった効果が望める食品が、スーパーフードとして認知されています。

特に、体の錆や老化を防ぎ、若々しさを保つ抗酸化作用には期待できますね。食事からとる栄養に勝るものはありませんから、スーパーフードを上手に取り入れるのはいいことだと思います。

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――スーパーフードといえば、アサイーやチアシードが知られていますが、取り入れ方にコツはあるのでしょうか。

アサイーは、ほかの野菜や果物と混ぜてスムージーにして、朝食やおやつ代わりにしている方が多いと思います。ただ、朝食は絶食状態が続いた後の初めての食事ですから、食べ方には注意しなくてはなりません。

甘い果物がたくさん含まれたスムージーを最初にとることによって、一気に血糖値が上がってしまうリスクがあるからです。朝食後に短時間で血糖値を急上昇させると、その反動でピークに達した後の血糖値は急激に下がり、さらに血糖値が上がりやすい状況を作ってしまいます。

その状態で昼食を食べれば当然血糖値は上がり、再び急降下するという血糖値の乱高下を引き起こします。これを「血糖値スパイク」といって、血糖値のコントロールを難しくしてしまう危険サイン。しかも急激に血糖値が下がるタイミングは強い空腹を感じるので、節制も困難になってしまいます。

「朝は王様のように、夜は貧者のように食べよ」なんて言葉がありますけど、糖尿病体質の方が多い日本においては、必ずしもおすすめの食べ方ではないのです。

反対に、朝食で血糖値の上昇を抑えることができれば、2食目にあたる昼食後の血糖値にも良い影響を及ぼす「セカンドミール効果」が期待できます。そのため、例えばチアシードやアサイー、スピルリナのような、食物繊維を多く含むスーパーフードを上手にとるといいですよ。朝はヨーグルトに混ぜるなど手軽に活用できて、プチプチした食感が楽しいチアシードを、「おいしい物を楽しく食べる」気持ちで取り入れるといいでしょう。

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朝食におすすめのチアシード。

――マカもスーパーフードのひとつですね。

冷えや更年期症状のある人にすすめられることが多いマカも、とても優れた食品です。生のマカは、ホースラディッシュ(西洋わさび)に似た食感と味わいがあっておいしいのですが、購入できるところが限られています。

一般に販売されているマカは、パウダー状に加工した物が多いので、お料理やお飲み物にプラスするといいでしょう。

日本発祥のスーパーフードは、日々の生活に取り入れやすい

――もっと手軽に、効率的にスーパーフードの効果を享受できたらうれしいのですが...。

スーパーフードというと、これまで出たような食品を思い浮かべる方が多いと思いますが、最近ではそばや味噌といった日本に昔からある食品がスーパーフードとして見直されています。日本食を代表する納豆もそのひとつ。

良質な栄養分を多く含む発酵食品であり、「病気の予防はまず正しい食習慣から」と提唱する中で、納豆はまさに最強の食材です。日本の食卓に欠かせないこうした食品なら、普段の食事の中で取り入れやすいのではないでしょうか。麹や酒粕なども、もっと料理に活用されればいいと感じています。

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――スーパーフードを摂取する上で、注意点はありますか。

抗酸化力の強い食品は、体の中で生じる酸化(サビ)から体を守る作用があります。酸素を利用すると同時に体内で生成されてしまう活性酸素は、私たちの細胞を傷つけ、老化や病気の原因となるわけですが、抗酸化物質は、体内で増えた活性酸素に対して自身が酸化されることで、体を酸化から守ってくれます。つまり、抗酸化力があるということは、みずからも錆びやすいということでもあるわけですね。

よって、保管により空気にふれる時間が長くなると、食べる前に酸化してしまっている可能性があるので、できるだけ小さなパッケージの物を買うなどして、フレッシュなうちに食べるようにしましょう。油は酸化されやすいので特に注意が必要です。

あとは、デメリットにもきちんと目を向けること。例えば、ピーナッツは良質な栄養素をたくさん含むスーパーフードですが、食べやすくするために食塩や油を使っている場合があり、摂る量には注意が必要です。体にいいから食べていたはずなのに、気付いたら健康を害することになっていたということにならないよう、加工の仕方にも気を配りたいですね。

――確かに、良かれと思って食べた結果、加工のされ方によっては逆効果になってしまうのは悲しいですね。

これは、スーパーフードに限ったことではありませんが、何でもとりすぎたりやりすぎたりするのは良くないのです。ウコンやナツメグのように、とても良い成分を含む香辛料でも、一度に大量に摂取してしまえば深刻な中毒症状が現れる場合があります。

同じように、スーパーフードをたくさん食べれば健康になれる、美しくなれるというものではなく、過剰摂取にはそれなりのリスクが伴います。具体的に「ここまでなら大丈夫」「ここからは危険」というラインがなくても、常識に照らして考えるようにしたいですね。

また、スーパーフードを含めて、あらゆる食品には、農薬や添加物など、体に負担をかける可能性のある物質が付加されている場合もあります。そのリスクを回避するためにも、ずっと同じ物ばかりを食べるのではなく、たくさんある良い物をローテーションするといいでしょう。選択肢が増える分、得られる効能も増えますし、何より飽きずに続けられますよね。

いろいろな種類を少しずつ買えばいいので、ひとつの物を買い込んで劣化させてしまう心配もありません。スーパーフードを日々の生活に無理なく取り入れることで、普段の食事で不足しがちな栄養を補い、美と健康の維持に役立ててください。



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SUPERVISERこの記事を監修した人

渡邉先生

PROFILE

渡邉 美和子 (わたなべ みわこ) 医師

専門分野:内科・抗加齢医学

1994年 北里大学医学部卒業
慶應義塾大学内科学教室 入局。永寿総合病院勤務などを経て、2003年医療法人社団桃蹊会理事長、2007年マリーシアガーデンクリニック院長を経て、2010年より東京ミッドタウンクリニックへ。2011年東京ミッドタウンクリニック「特別診察室長」に就任、2020年東京ミッドタウンクリニック「外来診療部長」に就任、2022年には東京ミッドタウンクリニック「副院長」に就任。臨床の場で会員制医療における健康危機管理や医療相談に携わるほか、日本抗加齢医学会、日本内分泌学会をはじめ医学学会でのお弁当監修や企業との健康関連事業に取り組むなど、独自の食指導「安心で美味しい食の医療プロジェクト」にも力を入れている。

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