その症状、実はPMSかも...プレ更年期症状・更年期障害との違いは?

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生理の量や周期が変わってきた、ちょっとしたことでイライラする――そうした心身の変化を自覚した40代以降の女性の多くは、「もしかして更年期障害?」と思ったり、「ついに閉経に近づいてきたかも」と覚悟を決めたりするのではないでしょうか。

実際、冒頭に挙げたような症状でクリニックを訪れる女性たちも、「更年期障害だと思って受診した」と訴えるといいます。ところが、実際の診療現場で多いのは、「更年期障害ではなくPMSだった」というケース。

PMS(月経前症候群)、プレ更年期症状、更年期障害の3つは、ホルモンバランスの変化が大きく関わっているだけに間違えやすいのです。それぞれの症状の見極め方と治療について、浜松町ハマサイトクリニックの医師・吉形玲美先生に教えていただきました。

【case11】これって更年期障害?見極めは症状の出方とタイミング

N・Mさん(初診時41歳)の場合

【おもな状況ヒアリング】

■肩こり、イライラ、頭痛などの症状がある
月経前になると、肩こりやイライラ、頭痛などの症状があり、日常生活に支障をきたすため受診しました。
特に頭痛は以前からひどく、心配で脳外科も受診しましたが、外科的な問題はないとの診断を受けています。

■更年期障害チェックをして、あてはまるので受診
更年期障害チェックにあてはまる項目が多かったため、おそらく更年期障害だろうと思っています。症状を少しでも楽にしたいです。

「更年期障害だと思って受診したらPMS」はよくあるパターン

――N・Mさんは、みずから「おそらく更年期障害だ」と判断して受診しているのですね。

この年代で、N・Mさんと同じような月経の変調、精神的な変調を感じて受診される人は、「自分は更年期障害かもしれない」と思って受診されるケースが多い印象です。

女性の卵巣機能は、40歳を過ぎたころから次第に衰え、閉経に向かっていきます。更年期は、卵巣から分泌されるエストロゲンが急激に減少してホルモンバランスが崩れる閉経前後の約10年間を指しますが、閉経で急激に女性ホルモンが減る人もいればだらだらと減っていく人もいるので、症状の出方や出る時期には個人差があります

30代後半から40代半ばと、年齢的にはまだ若いうちから女性ホルモンが減少し始めて、心身ともにゆらぎ出し、更年期症状に近いプレ更年期症状を経験する人も珍しくありません。

N・Mさんの場合は初診時の年齢が41歳ですから、プレ更年期の症状が出ている可能性は十分にありますね。ただし、更年期障害やプレ更年期症状とPMSは、いずれもホルモンバランスの変化が原因で、表れる症状も似ています

正しいケアをするためには、患者さんのお話をよく伺って、更年期障害なのか、まだそこには至っていないプレ更年期の症状なのか、はたまたPMSなのかを見極める必要があります。

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――「更年期障害だと思って受診したらPMSだった」ということもあるのですか。

実は、そのパターンが多いんですよ。問診でお話を伺うと、「明らかに更年期障害」「そうではなくPMS」といった見極めがつきます。

生理の周期にかかわらず、常に症状が出るようなら更年期障害やプレ更年期の症状が出ている可能性が高いですね。生理前にひどくなり、生理が来ると落ち着くというように、症状の出方が周期的ならPMSを疑ったほうがいいでしょう。

実際、N・Mさんもハマサイトクリニックのサイトで更年期障害のチェックをして、あてはまるものが多いことから自分で更年期障害であると判断して来院されましたが、症状の重さや表れる時期からPMSと診断しました。

――基本的には、問診でわかるのですね。

更年期障害もPMSも、「疾病」ではなく「症状」が主体の病気なので、検査などで客観的に判断することができません。年齢や症状、血液中のホルモンの状態などはあくまで診断の一助に過ぎず、明確な診断基準があるわけではないのです。

クリニックでは、月経の変調をはじめ、肩こりや頭痛、腰痛、胸の張りといった身体的な不調と、イライラする、わけもなく気持ちが落ち込む、悲しくなる、不安になるなどの精神的な不調が「いつ」「どのように」出ているかを丁寧に伺って診断することになります。

プレ更年期症状・更年期障害は「補う治療」、PMSは「整える治療」

――問診の後は、どのように治療が進むのですか。

器質的な異常の有無を確かめ、ほかの病気の可能性を否定するために、経膣エコーとホルモン採血の検査を行います。

N・Mさんの場合はどちらも異常がなかったので、PMSの治療に移ることになりました。

PMS治療の選択肢として大きく3つあります。

漢方薬...症状をやわらげる。同じ症状でもその人の体質によって処方される漢方薬の種類が異なる。

ピル...排卵をお休みさせて女性ホルモンの過剰な分泌を抑える治療薬。人によって、最初のうちは吐き気やむくみなどの副作用が出ることも。

エクオール含有サプリメント...女性ホルモンに似た作用とホルモンバランスを整える作用を併せ持つため、症状の緩和に効果がある。サプリメントのため手軽にスタートが可能。

「漢方薬」「ピル」「エクオール含有サプリメント」のいずれかを試して、症状の推移を見守ります。

N・Mさんにもそれぞれの特性を詳しく説明した上で、選択していただきました。

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――その結果、漢方薬を試してみることになったのですね。

月経不順や月経異常に用いられる当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)という漢方薬を処方しました。1ヵ月後の診察で「実感として調子が良かった」ということだったので、そのまま服用を続けてもらっています。

そして5ヵ月後には、全体的に穏やかになった気がするものの、月経前には頻尿とイライラがあること、太っているのが気になるとのことだったので、月経前にはイライラを抑えるために用いられる抑肝散(よくかんさん)を、体重の悩みには肥満症などに用いられる防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)を試してみることにしました。

そのまま体調に変化はなく、同様の漢方で様子見を続けた結果、1年半で当帰芍薬散の効果が薄れてきたので中止。イライラには抑肝散が効いていたので、月経前の症状があるときだけ服用としました。

薬は必ずしも飲み続けなければいけないわけではなく、症状の出方に応じて量を減らしたりストップしたりすることもできます。

――女性特有の症状に悩む人に、アドバイスをお願いします。

月経の変調や急なイライラは、プレ更年期症状、更年期障害、PMSに共通する症状ですが、更年期障害にはHRT(ホルモン補充療法)で「減少したホルモンを補う治療」、PMSには「過剰な女性ホルモンのバランスを整える治療」「プレ更年期の症状には個々のゆらぎ(ホルモン)状態にあわせてそれらのいずれかを使用」というように、適した治療が異なります。

更年期障害だと思ったらPMSだったという今回のような例もあれば、その逆もありますから、気になる症状のある人は一度クリニックを訪れ、診察を受けてみてください。診察の結果、PMSだった場合、経過観察を続けることによって更年期症状のサインに早く気付けるというメリットもあります。

N・Mさんも、治療の過程で次第に月経量が減ってきたというお話がありましたので、当クリニックでおこなっている検査「更年期診断パック」をおすすめしました。早い段階で適切なケアをして、つらい時期をできるだけ快適に乗り切っていただきたいですね。



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浜松町ハマサイトクリニック
東京ミッドタウンクリニック
セラヴィ新橋クリニック


SUPERVISERこの記事を監修した人

吉形先生

PROFILE

吉形 玲美 (よしかたれみ) 医師

医学博士/日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
専門分野:婦人科

1997年東京女子医科大学医学部卒業
臨床の現場で婦人科腫瘍手術をはじめ、産婦人科一般診療を手掛ける傍ら、女性医療・更年期医療の様々な臨床研究に携わる。女性予防医療を広めたいという思いから、2010年より浜松町ハマサイトクリニックに院長として着任。現在は同院婦人科専門医として診療のほか、多施設で予防医療研究に従事。更年期、妊活、生理不順など、ゆらぎやすい女性の身体のホルモンマネージメントを得意とする。

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※掲載している情報は、記事公開時点のものです。

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