目尻のシワ消し、ほうれい線を薄くする...気になる肌の悩みの原因と治療法

シミやしわなど、40代以上の女性にとって肌の悩みは尽きません。その中でも、老け顔の大きな原因となる「ほうれい線」や「マリオネットライン」は、なぜ年齢とともに目立ってしまうのでしょうか。少しでも薄くする方法はないのでしょうか...?

美容医療の最前線にいる、東京ミッドタウン皮膚科形成外科ノアージュの上島朋子院長に、その治療法と自宅でできるケアについて教えていただきました。

ほうれい線の原因は皮膚の深部にアリ!

――なぜ、ほうれい線やマリオネットラインができてしまうのでしょうか?

ほうれい線は小鼻から口角まで伸びたしわ、マリオネットラインは口角より下のしわを指します。どちらも皮膚の深部に原因があります。

まず、自分の顔を鏡で見てください。そして頬骨のすぐ脇、下顎の付け根あたりを指でちょっとだけ引っ張ってみてください。どうですか?しわが薄くなりませんか?ほうれい線やマリオネットラインは、この指で押さえた部分の皮下組織が皮膚と一緒に前へ前へとずれていくことで生じるのです。

なぜずれてしまうかというと、頬骨とその上の皮膚をつないでいる靭帯(貝柱みたいなもの)がゆるんでしまうからなんです。

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また、年齢とともに顔の骨が小さくなってきて、皮膚が余るという状態になります。このギャップを周りの脂肪や筋肉が埋めているのですが、それが萎縮してしまうとしわやたるみという形で目に見えるようになってきます。

骨格によって違いはありますが、脂肪の量が多いとたるみやすいですし、太ったりやせたりの繰り返しや、急激にやせることがあるとほうれい線は出やすくなります

――ほうれい線やマリオネットラインを作らないためには、どうすればいいのでしょうか?

自分で認識できるしわが出てくるのが30代後半~40代で、50代になると顕著になります。そうなってくると組織のゆるみは修復しにくいので、早めに対処することが大切なんです。口角を引き上げる筋肉を強くしたり、リンパの流れを良くしたりすることで、ほうれい線を目立たなくすることはできます。

大きなしわは、筋肉のバランスが崩れることでできます。口元にある筋肉には、口角を引っ張り上げる筋肉、引き下げる筋肉、口を開いたりすぼめたりする筋肉がありますが、それぞれの筋肉が綱引きをしてバランスをとっています。若いころは、ちょうどそのバランスが1:1になっていて、ハリが保たれているのです。筋肉のバランスが崩れないよう、噛み合わせも重要ですし、リンパの流れを良くして、むくみをとることも大切です。

乾燥や紫外線を防ぐことが最も大切なセルフケア

――自分ではどのようなケアをすればいいでしょうか?

乾燥による小じわや口元の細かいしわといった表面的なものは、ちょっとしたセルフケアで克服できますよ。表面的なしわは、まずは皮膚の表面の水分量を保湿でコントロールしましょう。保湿効果が高い化粧水などを丁寧に皮膚表面にのせてください。強い力でこすったり、マッサージをしたりすると小じわが増えやすくなるので要注意。洗顔やクレンジングも、皮膚の表面が動かない程度のやさしい力で行いましょう

次に重要なのが、紫外線。紫外線=シミというイメージが強いと思いますが、しわにも大きく関係があるんですよ。紫外線にあたると皮膚の下のコラーゲンが細かくちぎれていきます。本来のゴムのような働きができなくなると、伸びたままだらんとしてしまいます。そうなると元に戻そうとする力がありませんから、筋肉の動きに引き込まれてしわが刻まれてしまうのです。

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これは、残念ながら保湿だけでは消えず、修復できなくなってしまいます。そうなる前に紫外線対策をしっかりとおこなって、早め早めに対応していくことが大切ですよ。

セルフケアでは難しい根本的な原因改善は美容医療で

――できてしまったほうれい線は、どうやって治せばいいのでしょうか?

乾燥による小じわなどは、丁寧なスキンケアやマッサージである程度目立たなくする事はできますが、靭帯がゆるんでしまうと、残念ながら自分でどんなにがんばっても元に戻すことは難しいのです...。そこで、靭帯を元の位置に近付けて、口周りなどに移動してしまった皮下組織を引き上げていきます。

治療法としては、骨と皮膚をつなぐ靭帯の根元をしっかりさせるヒアルロン酸注射と、レーザーなどの機器を使って皮膚の奥をリモデリング(再構築)させる方法があります。

ヒアルロン酸の治療は、深い部分に注入してたるみを改善させるほかに、輪郭をきれいに整えたり、肌にハリを出したりという、プラスαの効果があります。また、レーザーや近赤外線、超音波エネルギーなどの機器を使った治療を組み合わせることで、たるみだけではなく、肌のくすみをとって肌質を高めることもできるんですよ。

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――レーザーなどの機器とヒアルロン酸注射には、それぞれどういった効果があるのでしょうか。

機器を用いた治療で最も皮膚の深い部分にアプローチできるのは、高密度焦点式超音波エネルギーです。これは、筋肉を覆っている筋膜や真皮の深い層に熱の塊でとても小さな傷を作り、その傷が自然に治るのを利用して組織を引き締めます。そのため即効性はないのですが、ご自身が持つ回復力によって、2~3ヵ月かけてたるみが改善していく、とても自然な若返り法です。

次に深い部分に作用するのは近赤外線を使った治療法で、真皮の中層から浅い層の水分を均一に温めます。それによって、まずは直後から肌が引き締まり、続いて熱刺激によるコラーゲンの再生が数週間かけて起こります。

一方のヒアルロン酸は、その方のお顔に合わせて、たるみやしわ、くぼみなどを改善する最適ポイントに注入していく、オーダーメイドの治療法です。

ちなみに、ボトックス注射という名前を聞いたことがある方も多いと思いますが、これは表情のくせでできる表情じわを改善する方法で、眉間や額、目尻のしわをやわらげる効果があります。同じしわでも、部位や深さによって治療法はさまざまです。ですので、理想の仕上がり治療期間・ご予算などについて話し合って治療方針を決めていきます

――初めてだと不安に感じる方が多いと思うのですが、こういった治療は痛くないのでしょうか。

痛みの感じ方は人によって違いますが、塗る麻酔や治療前後のクーリングなどでお痛みを和らげる工夫をしています。緊張していると体に力が入って痛みに敏感になってしまう場合もありますから、リラックスして治療を受けていただけるような環境づくりを心掛けています。

お肌の悩みを元に戻すのには時間がかかるもの。日頃のセルフケアをしっかり行ないながら、必要に応じて美容医療をためしてみる...などうまく利用してもらえればと思っています。


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東京ミッドタウン皮膚科形成外科ノアージュ


SUPERVISERこの記事を監修した人

上島先生

PROFILE

上島 朋子 (かみしま ともこ) 医師

医学博士
専門分野:皮膚科

1992年新潟大学医学部卒業
東邦大学医学部大森病院、栃木県立がんセンター、財団法人鎌倉病院皮膚科部長を経て2016年より東京ミッドタウン皮膚科形成外科ノアージュ勤務、神奈川美容外科クリニックでは10年間非常勤医師として勤務、2018年5月よりノアージュ院長に就任。病理学の研究を経て皮膚科医になった経歴から、「肌」という繊細な臓器をしっかりと見つめ治療・施術を提供することをモットーとする。「肌の健やかな美しさ」にこだわり、疾患の治療から先端美容医療、そして再生医療の研究まで手がける。

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※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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この記事は、働く女性の医療メディア
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