不妊治療の種類と費用とは?メリット・デメリットからみる40代の不妊治療

近年、都市部では、女性の社会進出の促進によって高齢出産が増加傾向にあります。しかし、40代以降の自然妊娠の確率が低いという事実に変わりはありません。40代になって、「どうしても子供が欲しいから」と、自然妊娠以外の方法を検討している人も多いでしょう。

そこで、40代以降の妊娠の実態から不妊治療の種類、それぞれの治療法のメリットやリスクについて、オリビアさんに解説してもらいました。



【PROFILE】

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オリビアさん(43歳)

自身も妊活を経験して授かった1児を育てながら、今も現役で働く医療系ライター。さまざまな学会にも足を運び、ドクターと仲良くなるのが得意。産後に始めたヨガにハマり、最近のリフレッシュ方法はもっぱらヨガスタジオに通うこと。

高齢妊娠を甘く見ないで!

ある休日、子供をパパに預けて美容院にやって来たオリビアさん。のんびり雑誌をめくり、女性タレントのインタビュー記事を読みながら髪を切ってもらっていると、担当の美容師・まいさんが話しかけてきました。

まいさん 「そのタレントさん、このあいだ出産したんですよね。43歳でしたっけ?私もいずれは子供が欲しいから、まだまだ大丈夫なんだって勇気をもらえるなあ」

オリビアさん 「あら、そうなんだ。失礼だけど、今おいくつ?」

まいさん 「38歳です。最近結婚したばかりだから、しばらくは夫婦2人の生活を楽しむのもいいかなって思っていて」

オリビアさん 「うーん、その気持ちもわかるけど、あまり悠長なことは言っていられないわ。40代以降の出産が増えているのは確かだけど、自然妊娠の確率が上がっているわけではないのよ」

まいさん 「えっ、そうなんですか?まだ大丈夫って思ってたんだけど、甘いのかなあ...」

オリビアさん 「もちろん妊娠できないわけではないけれど、40代以降になると自然妊娠の可能性がだいぶ低くなることは確かよ。本当に子供が欲しいなら、自然妊娠以外の方法も視野に入れておいたほうがいいわね。じゃあ、あらかじめ知っておきたい40代以降の妊娠のことや不妊治療のこと、お伝えしましょう!」

40代以降の妊娠の実態とは?

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最近では30代後半からの妊活、出産も珍しくなくなったとはいえ、20代のころと同じように妊娠・出産できるわけではありません。年齢とともに女性の持つ卵子の数は減少し、生き残った卵子も次第に老化していくため、40代以降は圧倒的に妊娠しにくくなってしまうのです。

さらに、年齢が上がるにつれて卵子の染色体異常が起きやすくなるので、せっかく妊娠しても出産までたどり着かないケースも増加します。特に、40代以降の妊娠率の低下と流産率の上昇は著しく高まり、出産に至る道のりは非常に険しいといえるでしょう。 また、妊娠高血圧症候群を発症する確率や、先天性疾患のリスクが高まるのも40代以降だといわれています。

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不妊治療という選択肢

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40代以降の夫婦の場合、卵子と精子の老化によって、不妊症になる可能性が高まります。妊娠しにくいと思ったら、早めに要因を検査で明らかにし、不妊治療をスタートしましょう。なお、男性不妊も、不妊治療によって改善されることがあります。

不妊治療には、「タイミング法」「排卵誘発法」「人工授精」「体外受精」「顕微受精」の5つがあり、治療の結果に応じてステップアップしていくのが一般的です。

1. タイミング法

妊娠を特定し、妊娠しやすいといわれる排卵日の2日前くらいからタイミングを合わせて性交を行う方法です。性交渉が少ない場合は効果的ですが、多い場合は効果が表れにくい傾向があります。

2. 排卵誘発法

内服薬や注射で卵巣を刺激し、排卵を促進する方法です。卵巣機能が低下している人の卵子でも発育を促進できる可能性がありますが、通院回数は多くなります。

3. 人工授精

質の良い精子を抽出し、排卵日に合わせて子宮内に注入する方法です。自然に近い妊娠の仕方ですが、自費診療のため治療費が高くなります。

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4. 体外受精

排卵日に採取した卵子を体外で受精させ、子宮内に戻す方法です。タイミング法に比べて高い受精率が期待できますが、人工授精と同じく自費で、1回の治療につき30万~70万円かかります。

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5. 顕微受精

体外受精の一種といえるものですが、こちらは顕微鏡を用いてガラス管に精子を1個だけ吸引し、極細の針で卵子に直接注入する方法。重度の男性不妊や体外受精でも妊娠できなかった場合に用いられます。費用は体外受精に追加される形となり、1個につき10,000円程度で複数個行うことが多いようです。

40代は自然妊娠以外の方法も視野に入れた妊活を

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40代で妊娠を希望する場合、「授かりにくい」という事実を踏まえて、「妊娠しにくい」と感じたらすぐに不妊治療を視野に入れた妊活を始めましょう。治療法には、ここで紹介した4つのステップのほか、第三者の女性から卵子の提供を受けるという最終手段もあります。

自分たちの生活スタイルや経済面を考慮して、治療法を選ぶようにしましょう。

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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