更年期に起こりがちな便秘・下痢の原因と解消法とは?

コラム・心地よいわたし

更年期に入った女性の多くが、便秘や下痢に悩まされているといいます。その原因として考えられるのが、エストロゲンの減少に伴って、腸の働きをコントロールする自律神経が乱れがちになること。
更年期の女性に起こりがちな便秘や下痢を放っておくと、体にどのようなリスクがあるのでしょうか。
今回は、更年期の女性に便秘や下痢が増えるメカニズムから日常生活でできる解消法まで、詳しく解説します。

[2020年11月16日更新]

更年期に下痢・便秘になりやすいのはなぜ?

更年期に下痢・便秘になりやすい理由を聞かれたら、多くの人が腸のことを思い浮かべるでしょう。実は、その腸の働きは、自律神経によってコントロールされています。そして、自律神経に大きな影響を与えるのが、女性ホルモンのひとつ、エストロゲンです。

エストロゲンの分泌量が加齢とともに減ることで自律神経が乱れ、腸の蠕動運動(※)が弱まることが、更年期に便秘や下痢になりやすい理由のひとつと考えられています。下の図からも、エストロゲンの分泌量が、閉経の前後10年で急激に減少していることがわかるでしょう。

※蠕動(ぜんどう)運動...食道から腸までの消化管の筋肉がリズミカルに収縮すること。それによって食べた物が消化・吸収され、肛門側に移動していく。

■【年代別】女性ホルモンの分泌量推移

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もちろんそれだけではなく、偏った食生活や不規則な生活、加齢による胃腸の働きの低下、腹筋が衰えて便が出しにくくなることなどが原因となることも

また、自律神経はストレスの影響を大きく受けるため、心理的、環境的な要因によって便秘や下痢になることも考えられます

便秘・下痢を解消する方法

それでは、便秘や下痢を解消するには、どのような方法が有効なのでしょうか。


腸内環境を整える

腸内環境が悪化すると、便秘や下痢が起こりやすくなります。腸の働きを良くする食品を積極的にとって活性化させる、「腸活」を心掛けましょう。おすすめは、次のような食品です。

■腸活におすすめの食品

・発酵食品(納豆、キムチなど)
・乳製品(ヨーグルト、チーズなど)
・水溶性の食物繊維を含む食品(野菜や海藻)
・不溶性の食物繊維を含む食品(豆類、穀類)

特に、腸の働きを助け、便をやわらかくする働きのある栄養素「ヤラピン」が含まれるさつまいもが◎水分を吸収して膨らみ、便のかさを増してくれる水溶性食物繊維と、便に水を含ませてやわらかくしてくれる不溶性の食物繊維も豊富に含まれているので、便通の改善が期待できます。

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1日3食しっかり食べる

食事には、体温を上げる効果があるほか、食物を摂取することが腸への刺激になったり、よく噛んで食べることで脳に刺激を与えてくれたりします。朝・昼・晩の1日3食を心掛けることはもちろん、毎食バランス良く食べるようにしましょう。

朝起きたら、腸を目覚めさせるためにコップ1杯の水を飲むことも大切です。

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腸マッサージをする

腸内環境を整えるには、腸マッサージもおすすめ。仰向けに寝て、下腹部にある腸に沿って「の」の字を描くように、両手で痛くない程度に押していきましょう。便秘の場合は、便が溜まりやすい下腹部の左下をしっかり押してください。

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適度な運動をする

運動不足は、腸の働きを低下させる要因となりますので、適度に運動をしましょう。ハードな運動ではなく、ウォーキングやヨガ、軽いストレッチなど、無理なくできるものを毎日続けることがポイントです。


市販の便秘薬を飲む

便秘でつらいときは、生活習慣と食習慣の改善と並行して、市販の便秘薬を飲むのも一つの手です。

便秘薬には下記の2種類がありますが、刺激性下剤はおなかが痛くなる場合があるので注意が必要

・腸を刺激する刺激性下剤
・便をやわらかくして出しやすくする緩下剤

また、下剤に依存しないよう、常用はしないほうがいいといえます。より効率的に便秘を改善するなら、医療機関で薬を処方してもらうことも検討しましょう

更年期の便秘や下痢を甘く見てはダメ!

便秘や下痢に悩まされながらも、「年齢的に仕方がない」「なんとなく大丈夫だろう」と思っていたら、それは大きな間違い。便秘や下痢は、放置しているとさまざまな症状が現れたり、ゆくゆくは疾患につながったりする可能性があります。

というのも、便秘や下痢が起きているときの腸内は、乱れた状態にあるから。腸内環境の乱れが体にどのようなダメージを与えるのか、便秘と下痢、それぞれのケースについてご説明しましょう。


便秘の弊害

便秘の状態が長く続くと、次のような症状が現れることがあります。

・太りやすくなる
便秘になるということは、老廃物や未消化の食物など、通常は便といっしょに排出されるべき物が腸の中に残っていることを意味します。腸内環境が悪くなると血液もドロドロになり、本来なら血流にのって全身に行き渡るはずの栄養が脂肪組織で蓄えられてしまったり、代謝機能が落ちたりと、太る原因に

・肌荒れや肩こり、頭痛、大腸の病気にかかりやすくなる
便秘によって腸内に悪玉菌が増えると、有害物質が溜まりやすくなります。この有害物質は、肌荒れや肩こり、頭痛を引き起こすほか、大腸に炎症を起こすことも。大腸の炎症を繰り返すと、女性のがんによる死因の第1位(※)である、大腸がんにつながることも考えられるので、注意しましょう。

※厚生労働省「平成29年(2017年)人口動態統計」より

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・花粉症などのアレルギーになりやすくなる
花粉症などのアレルギーは、腸の免疫細胞の働きの低下がきっかけで発症するともいわれています。

・痔や脳卒中の可能性が高まる
便が硬く、排便時にいきむことで痔になったり、血圧が上昇して脳卒中を引き起こしたりすることがあります。

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下痢の弊害

通常の下痢と更年期の下痢では、症状が起きる時間に違いがあるといわれています。

・通常の下痢
通常の下痢は、ウイルスや精神的なストレス、暴飲暴食といった原因で時間帯に関係なく起こる。

・更年期の下痢
更年期の下痢は、明け方などに慢性的に発症し、長い時間続くのが特徴。また、腹部や腰などに冷えを感じるほか、微熱を伴うこともある。

下痢を引き起こす原因は、自律神経の乱れに加え、大腸で水分の吸収がうまくできていないことが考えられます。特に、長時間にわたる下痢は体内の水分が不足し、知らず知らずのうちに脱水症状になってしまうおそれがあるため、こまめに水分補給をするようにしましょう。

監修者・消化器内科医の古川真依子先生より

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誰もが一度や二度は経験したことがある便秘や下痢は、その原因が更年期によるものとは気づかずに見逃してしまいがち。しかし、40代以降の女性が悩まされる便秘や下痢には、体の不調や病気につながる可能性が潜んでいます。それを回避するためには、「もしや」と思ったら早めに対処すること。自己判断ではなく、一度医療機関へ相談することをおすすめします。便秘や下痢の悩みを解消して、すこやかな毎日を手に入れましょう。


【便秘に悩んだら、まずは医療機関に相談を】

東京ミッドタウンクリニック>(東京・六本木)

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病気の早期発見・予防のため、きめ細やかなテーラーメイドの健診を提供しているクリニック。外来診療では風邪などの疾患から専門的な診療まで幅広く対応。消化器内科では、苦痛の少ない内視鏡(胃カメラ)検査で、消化性潰瘍、逆流性食道炎、過敏性腸症候群、大腸ポリープなど、消化器系の疾患を発見・予防を目指しています。


東京ダイヤビルクリニック>(東京・中央区)

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外来診療のほかに、人間ドックや健康診断、予防接種などに対応し健康を幅広くサポートしているクリニック。胃腸に関する症状・悩みについては日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医による診察・検査を実施。胃内視鏡(経口・経鼻)や大腸内視鏡の装置も備え、いつでも相談可能です。



この記事を監修した人
古川真依子(ふるかわ まいこ)医師

医学博士/日本内科学会 総合内科専門医、日本消化器病学会 消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・指導医、日本消化管学会 胃腸科専門医、日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医 、日本カプセル内視鏡学会 カプセル内視鏡認定医、日本人間ドック学会 人間ドック認定医
専門分野:消化器内科・内科

2003年東京女子医科大学卒業
東京女子医科大学附属青山病院消化器内科で医療錬士として関連病院等にて診療にあたり、2008年帰局後は助手として指導にも尽力。2013年より東京ミッドタウンクリニック勤務。胃がん・大腸がん・腫瘍など消化器系の疾患だけでなく、便秘や産後の痔など女性ならではの悩みにも詳しい。

古川先生の診察を受けられる施設はこちら
東京ミッドタウンクリニック


※掲載している情報は、記事公開時点のものです。

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