閉経後に起きやすい疾患と、事前にやっておきたい心と体の準備

コラム・心地よいわたし

更年期に入ると、女性ホルモンの分泌量が少しずつ減り始め、体にさまざまな影響が表れるようになります。特に、卵巣からの女性ホルモンの分泌がストップする閉経後は、生活習慣病のほか、乳がんや骨粗しょう症、動脈硬化といった深刻な疾患のリスクが高まるため、早くから自分の体に合った準備をしておく必要があります。
医療系ライターのオリビアさんに、閉経後に気を付けたい疾患と、疾患への備え方について教えてもらいました。

【PROFILE】

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オリビアさん(44歳)

自身も妊活を経験して授かった1児を育てながら、今も現役で働く医療系ライター。さまざまな学会にも足を運び、ドクターと仲良くなるのが得意。産後に始めたヨガにハマり、最近のリフレッシュ法はもっぱらヨガスタジオに通うこと。

閉経後は女性ホルモンの保護がなくなる

仕事帰りの駅で、ベンチに座り込んでいる年上のママ友・アキさんを見つけたオリビアさん。急いで声をかけました。

オリビアさん 「アキさん、大丈夫?調子が悪いの?」

アキさん 「更年期に入ってから、すごく疲れやすくて...」

オリビアさん 「つらいわね。調子が回復するまでのあいだ、いっしょにいるわ」

アキさん 「ありがとう。今日は生理も重なって、腰痛もひどいのよ。いっそのこと、早く閉経すればいいのに」

オリビアさん 「でも、閉経後は女性ホルモンの保護がなくなって、別の問題が生じるのよ。閉経後の体の変化について教えるわね」

閉経後にかかりやすい疾患とは?

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女性のライフステージは、月経を迎える思春期、月経があり妊娠・出産を経験することが多い成熟期、閉経前後の約5年間にあたる更年期、閉経後の高齢期の4つに分かれます。ライフステージの変化は女性ホルモンの変化とともにあり、女性ホルモンの分泌量によって、心と体に大きな影響が表れます。


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更年期になると、今まで血管の働きを保ち、骨・粘膜・肌を保護していた女性ホルモンの一種「エストロゲン」が急激に減少。さらに、閉経を迎えて月経が完全に停止すると、卵巣からの女性ホルモンの分泌が止まり、女性はこれまで心身を守ってくれていた女性ホルモンの恩恵を受けられなくなります

そのような体の変化に伴い、骨や血管などの疾患のリスクが高まります。ここでは、閉経後に生じやすいおもな疾患とその症状を確認しておきましょう。

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骨粗しょう症

女性ホルモンの減少に伴って起きる骨量の減少は、閉経によって一気に進みます。骨がスカスカになってもろくなり、ちょっとした衝撃で骨折したり、知らないうちに骨折していたりする病気を「骨粗しょう症」といいます。

骨粗しょう症の対策は、急にはできません。40歳以降は骨密度の検査などを行い、自分の骨の状態をよく知ることが大切です。その上で、カルシウムとその吸収を助けるビタミンDを食事から多くとり、骨の強度を維持する適度な運動をこなしましょう。


萎縮性膣炎

萎縮性膣炎は、膣粘膜が萎縮・乾燥することによって膣の自浄作用が低下し、細菌が増えやすくなることで引き起こされる病気です。下着のこすれや自転車のサドルにまたがったときなど、ちょっとした刺激でも痛みを感じたり、出血を生じたりします。また、性交痛やかゆみなどが生じる可能性もあります。

女性ホルモン補充療法(HRT)、もしくはエストロゲンを配合したクリームや軟膏を局所的に塗る治療が有効です。

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動脈硬化

血管の働きをしなやかに保つ女性ホルモンの低下により、動脈の内壁が厚く硬くなって起きるのが動脈硬化です。血管が狭くなり、詰まりやすくなるため、放っておくと心筋梗塞や脳梗塞、脳出血といった深刻な病気につながる可能性があります

自覚症状があまりないため、食事や運動など、基本的な生活習慣に気を配ることが予防につながります。早期発見のためにも、1年に1度は必ず検診を受けて、自分の血管の状態を知ることを心掛けましょう。

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子宮体がん

子宮体がんは、そのほとんどがエストロゲンの作用を受けて月経を起こす子宮内膜から発生します。出産経験がない、閉経が遅い、月経不順、プロゲステロンを併用しないエストロゲンだけのホルモン補充療法を受けているなど、エストロゲンの影響を受ける期間が長期にわたる人に多く見られる病気です。これらに該当する場合は、定期的な検診を心掛けましょう。

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乳がん

乳がんの最も大きなリスク要因は遺伝ですが、子宮体がんと同じく、エストロゲンの影響を受ける期間が長い人も罹患しやすいといわれています。子宮体がんの項で紹介したリスク要因のほか、初産年齢が30歳以上だった方、初潮が早かった人なども注意が必要です。

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閉経に近づいていると感じたら、心と体の準備を

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閉経の目安は50歳前後。40代半ばを過ぎて更年期の症状があり、生理不順が続くようになったら「そろそろ閉経が近いかもしれない」と考えて準備を始めましょう

閉経すると、女性ホルモンというお守りがなくなり、場合によっては重大な疾患を引き起こす可能性があります。その事実を知り、予防と早期発見に努めることが大切です。また、閉経は自然の流れであり、誰も避けられません。いざというとき不安に押しつぶされることがないよう、心の準備もしておきましょう。

更年期症状を感じたときから婦人科を受診しておくと、エクオールなどのサプリで女性ホルモンを補い、状況を見てHRTに移行するなど、いきいきとした生活を維持するための対策がとりやすくなります。自分の体に起こる変化を冷静に見つめ、閉経後も心地良く過ごしたいですね。


※掲載している情報は、記事公開時点のものです。

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