更年期世代のぽっこりおなか―効率的なたんぱく質のとり方とは?

更年期に入って気になり始めたぽっこりおなか。崩れ始めた体型をなんとかしたいと思っても、おなかの脂肪はダイエットをして体重が落ちても解消されないことがほとんどです。それは、内臓周りの筋肉の衰えが影響しているから。
おなかを引き締めたいなら、有酸素運動と併せて、筋肉の素になるたんぱく質を十分に摂取することが大切です。では、どうすれば、たんぱく質を上手にとることができるのでしょうか。

東京ミッドタウンクリニックの消化器内科医師、古川真依子先生に、筋肉の低下がぽっこりおなかを誘発するメカニズムや、たんぱく質が不足することによる影響を伺った前回に続き、効率的なたんぱく質のとり方を教えていただきました。

<前回の記事>
更年期世代のぽっこりおなか―解消のカギはたんぱく質にあり

肉、魚、乳製品、卵以外にもたんぱく質を含む食品は多い

――前回、筋肉の衰えがぽっこりおなかの原因になること、解消するにはたんぱく質の摂取が重要であることを教えていただきました。

筋肉が衰えて内臓を支えられなくなったり、姿勢を維持できなくなったりすることがぽっこりおなかにつながるとお話ししましたね。併せて、筋肉の素になるたんぱく質をとることの重要性をお伝えしました。

――たんぱく質の多くは食事からとる必要があり、成人女性は1日に50gくらいが目安とのことでしたが、実際どれくらい食べると50gになるのかがイメージしにくいです...。

どれくらいの量かは想像しにくいかもしれませんね。鶏もも肉100gに含まれるたんぱく質は、だいたい15~16g程度。卵1個で7g程

意識をすればとれない量ではないと感じられますが、毎日確実に目安量を達成するのは意外とたいへんだと思います。思ったよりとれていないことに驚く人もいるのではないでしょうか。

――3食きっちり食べられていない日もあるので、十分にとれていない気がしますね。

朝は時間がなくて、朝食を1品で済ませてしまう日や、忙しくてお昼が食べられない日もあるでしょうから、一般的には不足ぎみの人が多いと思います。

ましてや、野菜中心の食生活にするようなダイエットをしていると、確実にたんぱく質不足の状態になってしまうでしょう。

――そもそも、どういった食材にたんぱく質が含まれているか、知っておく必要がありますね。

たんぱく質というと、肉、魚、乳製品、卵といったイメージが強いと思いますが、大豆製品にも多く含まれているんですよ。

朝ご飯に納豆、夕ご飯の味噌汁に豆腐を使うなどすると、全体量を増やすことができます。主食のイメージが強いご飯にも、茶碗1杯で4g程のたんぱく質が含まれていますし、穀物や果物からもとることができますから、さまざまな食材から少しずつとる意識を持つといいですね。

料理をする時間がなければ、たんぱく質を豊富に含むツナ缶などを活用するのもひとつの手です。

私は、毎朝1杯のブラックコーヒーを飲んでいたのですが、最近はそれに牛乳を加えてカフェオレにして飲むようにしました。あとは、好きな納豆が食卓に登場する回数を増やすなど、無理のない範囲でたんぱく質の摂取量を増やしています。

<たんぱく質を多く含む食材の一部>

■肉類
生ハム(24g)、鶏ささみ肉(24.6g)、ローストビーフ(21.7g)、牛もも肉(20.2g)、牛ひれ肉(19.1g)、豚ロース肉(19.3g)、ロースハム(18.6g)、ウインナー(11.5g)

■魚介類
いわし丸干し(45g)、まぐろ(26.4g)、かつお(25g)、さば(20.6g)、たら(17.4g)、焼きたらこ(28.3g)、するめ(69.2g)、魚肉ソーセージ(11.5g)

■卵
卵黄(16.5g)、ゆで卵(12.5g)、生卵(12g)、卵白(10.1g)

■大豆製品
きなこ(37.0g)、油揚げ(23.4g)、納豆(16.5g)、厚揚げ(10.7g)、木綿豆腐(7g)、豆乳(3.6g)

■乳製品
パルメザンチーズ(44g)、プロセスチーズ(21.6g)、クリームチーズ(8.2g)、カマンベールチーズ(19.1g)、ヨーグルト(3.6g)、牛乳(3.3g)

※カッコ内はいずれも100gあたりのたんぱく質含有量
※日本食品標準成分表2020年版(七訂)より参照

プロテインはとりすぎに注意!

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――どうしても1日のたんぱく質が不足しがちな場合は、プロテインなどで補ってもいいそうですね。

たんぱく質が不足すると心身にさまざまな影響が出ますから、補うのは悪いことではありませんが、注意点が3つあります。


1 栄養素が偏らないようにする

プロテインは、必須アミノ酸を含むたんぱく質、ビタミン、ミネラルなどをバランス良く含んでいますが、その含有量や、たんぱく質と同時に摂取できる栄養素は製品によって異なります。

複数のプロテインを組み合わせたり、ほかのサプリメントも同時に摂取したりすると、何かしらの栄養素を多くとりすぎてしまうことがあるので、食事の内容も踏まえて栄養素の偏りを防ぎましょう。


2 目的に合ったプロテインを選ぶ

また、筋肉量を上げてパンプアップを目指す場合と、適度な筋肉をつけておなか周りをすっきりさせたい場合とでは、選ぶプロテインが異なります。

動物性のホエイプロテイン、植物性のソイプロテインの中から、目的に合うプロテインを選びましょう。一般的に、トレーニングで効率的に筋量を上げるならホエイプロテイン、女性らしい体をキープしたいならソイプロテインがおすすめです。


3 糖質や脂質をとりすぎないようにする

製品によっては、飲みやすい味にするために糖質をたくさん含んでいたり、意外と脂質が多かったりする物があります。栄養素と同じく、食事とのバランスを見ながらプロテインを選び、脂質や糖質をとりすぎないようにしてください。

――たんぱく質をとりすぎることにも注意が必要でしょうか?

食事やプロテインからとったたんぱく質のうち、余分なものは分解されて体外に排出されます。ただ、余分な量が多すぎると、たんぱく質の代謝を担う肝臓や、体外への排泄を担う腎臓に大きな負担がかかり、長期的には腎機能や肝機能の低下につながる可能性があるでしょう。

たんぱく質が心身にとって欠かせない栄養素で、食事からの摂取において不足しがちなのは確かですが、過剰摂取には気を付けましょう。通常の食事で必要なたんぱく質の量をまかなえているのなら、プロテインや高たんぱく食品をプラスする必要はありません。

更年期はたんぱく質をうまく取り入れて、美と健康の維持を!

――普段の食事で、より効率的にたんぱく質をとる方法はありますか?

たんぱく質を構成するアミノ酸の代謝を促すビタミンB6をいっしょにとると、効率的な吸収とスムーズな代謝につながります。ビタミンB6は魚や肉類、果物では特にバナナに多く含まれていますよ。

――更年期以降は、それまでの生活習慣で体型を維持することができなくなるので、いっそう運動と食生活に気を使う必要がありますね。

更年期は筋肉の衰えが顕著になってきますから、贅肉もつきやすくなります。体幹、腹筋、背筋を鍛えて内臓を支えられるだけの筋肉を維持するとともに、たんぱく質を積極的に摂取して筋肉を増やし、基礎代謝を上げましょう。

良質なたんぱく質は筋肉量をアップしてくれるだけでなく、美と健康の維持というメリットもあります。まずは朝昼晩の3食、たんぱく質を含む食材を取り入れることを意識してくださいね。


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東京ミッドタウンクリニック


SUPERVISERこの記事を監修した人

古川先生

PROFILE

古川 真依子 (ふるかわ まいこ) 医師

医学博士/日本内科学会 総合内科専門医、日本消化器病学会 消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・指導医、日本消化管学会 胃腸科専門医、日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医 、日本カプセル内視鏡学会 カプセル内視鏡認定医、日本人間ドック学会 人間ドック認定医
専門分野:消化器内科・内科

2003年東京女子医科大学卒業
東京女子医科大学附属青山病院消化器内科で医療錬士として関連病院等にて診療にあたり、2008年帰局後は助手として指導にも尽力。2013年より東京ミッドタウンクリニック勤務。胃がん・大腸がん・腫瘍など消化器系の疾患だけでなく、便秘や産後の痔など女性ならではの悩みにも詳しい。

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※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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