【フェムゾーンケア情報まとめ】よくある悩みの原因やケア方法とは?

ILACYが2023年に15~69歳の女性に対して実施した調査で、「フェムゾーンケアに関心がある」と回答した人は全体のおよそ半数いるものの、フェムゾーンの正しいケア方法を知っている人はたったの7.8%だということがわかりました。

より多くの女性がフェムゾーンケアに関心をもち、正しいケア方法を知っていくことが大切です。
本記事では、同調査の結果をまじえつつ、フェムゾーンをケアするメリットや、適切なケア方法を解説します。

なお、詳細な調査結果はこちらの記事をご覧ください。
フェムゾーンケア(デリケートゾーンケア)に関する調査2023

フェムゾーンをケアするメリット

同調査の「◆フェムゾーンケアを始めてから、自分自身にどのような変化を感じたか」の問いには、以下の回答が寄せられました。

ニオイやかゆみといった、フェムゾーンの代表的な悩みが改善したと感じている人が多いようです。
フェムゾーンケアによって、このようにポジティブな変化が実感できるのは大きなメリットだと言えます。


フェムゾーンのニオイやかゆみ、ムレは、よくある悩みでありつつも、なかなか人に相談できないですよね。適切にケアすることで、このような不快感が軽減される可能性がありますよ。
ただし、性感染症や皮膚炎によるものはセルフケアで改善しないので、婦人科などの専門のクリニックを必ず受診しましょう。

フェムゾーンのかゆみ・ニオイの対策方法

「◆フェムゾーンケアを始めた理由や目的」の回答では、1位がフェムゾーンのかゆみ、2位がニオイとなっており、この2つが多くの女性にとっての悩みであることがうかがえます。

これらのお悩みの原因は、いくつか考えられます。

フェムゾーンのかゆみ・ニオイの原因

  • ムレ
  • 尿漏れ
  • 間違ったアンダーヘアの処理
  • 洗いすぎ
  • 感染症などの病気
  • 萎縮性腟炎

ムレや、尿の付着によって、フェムゾーンにかゆみやニオイが発生することがあります。そして同時に、この原因を取り除こうとして間違った方法でアンダーヘアを処理したり、フェムゾーンを洗いすぎたりすることによってもトラブルに発展してしまうことがあるのも事実です。
アンダーヘアは、ただ剃るのではなく、長い毛を少し切って、洗いやすい状態に整えるイメージでお手入れしましょう。また、フェムゾーンの正しい洗い方は後述します。

ほかにフェムゾーンのお悩みの原因として、細菌性腟炎やカンジダ腟炎をはじめとする、雑菌やウイルスによる皮膚・粘膜の炎症や、免疫力の低下によって引き起こされる外陰部ヘルペスが挙げられます。
これらの病気に起因しているかゆみ・痛みは、セルフケアだけでは解決が困難な場合があります。おりもののニオイ・色の変化や、違和感がある場合はすぐにクリニックを受診しましょう。

また、更年期以降の方が抱えられるフェムゾーンのお悩みは、「萎縮性腟炎」が原因かもしれません。
更年期に入り女性ホルモンの分泌が減少すると、腟壁が薄くなって乾燥したり、腟自体が萎縮したりして、痛みやかゆみといった症状を引き起こします。腟を守っていたグリコーゲンも減るため自浄作用が低下し、炎症が起きた状態を萎縮性腟炎といいます。

フェムゾーンのかゆみがつらい!更年期以降の悩みを医師が解説
フェムゾーンのにおいが気になる...更年期以降の悩みを医師が解説

フェムゾーンのニオイは必ずしも異常とは限らない

フェムゾーンのニオイが気になっている方も多いと思いますが、実は、ニオイがすること自体は必ずしも異常であるとは限りません。むしろ、酸っぱいニオイがする程度であれば腟が正常であるサインなのです。

そのうえで、「やっぱりどうしてもニオイが気になる......」と感じられる場合は、フェムゾーン用の洗浄剤を用いてフェムゾーンを洗うとニオイをある程度抑えられる場合があります。なお、独特のおりものが出て、強いニオイがするときは何らかの病気が潜んでいる可能性があるため、早めにクリニックへご相談ください。

フェムゾーン用の洗浄剤で洗おう

フェムゾーンは、フェムゾーン用に調整されていないボディソープで洗うと、たとえ弱酸性のものであってもトラブルを招く可能性があることをご存じでしょうか?

「◆弱酸性のボディソープでもフェムゾーンには刺激が強過ぎるものがあることを知っているか」の問いに対して「知っている」と回答したのは全体の 35%。

そして、「◆フェムゾーンを洗うときに、どのようなものを使用しているか」の問いに対しては、全体の73.4%を占める1~3位に"フェムゾーン用以外のボディソープ"が並びました。

フェムゾーンケアをしている女性でも、多くの人がフェムゾーン用ではないボディソープを用いているようです。
フェムゾーン用に作られていないボディソープは、刺激が強いため、かえってフェムゾーンのトラブルを招くおそれがあります。

なぜ、フェムゾーン用の洗浄剤で洗わなければならないのでしょうか。
その理由は、水素イオンの濃度を表す「pH」が関係しています。

まずはpHについておさらいしましょう。
pHには0~14の数値があり、基準となる中性を7とし、1に近いほど酸性が強くなり、14に近いほどアルカリ性が強くなります。
そして、健康的な方の腟内のpHは3.8~4.5、外陰部周辺のpHは5.9前後だといわれており、お肌と同じ弱酸性です。
しかし一般的なボディソープはpH9.0~11.0のアルカリ性のため洗浄力が強く、そのままフェムゾーンの洗浄に使用するとpH値が中性に傾き、自浄作用が落ちてしまいます。
そのため、とてもデリケートなフェムゾーンをお手入れするには、pH5.0~7.5のフェムゾーン用の洗浄剤を使う必要があるのです


フェムゾーンには、細菌の侵入を防ぎ良好な状態を保つための常在菌が存在しています。一般的なボディソープで洗うと、この常在菌までも洗い流してしまって、自浄作用に影響を及ぼす可能性があるのです。常在菌を残しつつ、汚れを適切に落とすために、フェムゾーン用の洗浄剤を使って丁寧に洗ってください。

フェムゾーンの正しい洗い方

記事冒頭でも示したように、「◆フェムゾーンケアの適切な方法について詳しく知っているか」という問いに対し「知っている」と回答したのは、全体の7.8%。多くの女性がフェムゾーンのケア方法を知らない、あるいは知っていても「詳しい」と言える自信がないということが判明しました。

フェムゾーンを洗う際は、以下の3つのポイントを押さえましょう。

フェムゾーンケアのポイント

  1. 脚を広げて洗いやすい姿勢をとる
  2. フェムゾーン用の洗浄剤を使い、泡で撫でるように洗う
  3. 「前から後ろ」の順に洗う

スクワットに近いイメージで、つま先を外に向けて脚を開いた状態でしゃがむと、フェムゾーンをまんべんなく洗える姿勢をとることができます。しゃがむのが難しい方や、椅子に座りたい方は、できるだけ脚を広げられる低めの椅子に座りましょう。

フェムゾーン用の洗浄剤を使うことは大前提のうえで、泡で優しく撫でるように洗うのがポイントです。顔をゴシゴシとこすらないのと同じで、フェムゾーンにも摩擦は禁物。「顔にやらないことはフェムゾーンにもやらない」と考えると、わかりやすいのではないでしょうか。

洗う順番は、トイレで尿や便を拭く際と同じく「前から後ろ」。肛門の周囲が最も雑菌が多いので、尿道や腟に雑菌が付着しないよう、肛門を洗うのは最後です。まずアンダーヘアを洗い、それから尿道口まわり、腟、肛門の順で洗っていきます。
垢やトイレットペーパーの残りがたまりやすい、ヒダのあいだもきれいにしましょう。

こちらの記事では、フェムゾーンの正しい洗い方を図解つきで詳しく解説しています。
フェムゾーンの洗い方は女性の基本知識!医師が教える正しい方法

フェムゾーンは保湿も大切

「フェムゾーンケア」と聞くと、バスタイムでの洗浄を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は保湿も大切です。フェムゾーンの皮膚が乾燥することによっても、かゆみやニオイをはじめとするトラブルが発生する場合があります。

フェムゾーンを洗ったあとは、フェムゾーン用に調整されたジェルやクリームなどを使って丁寧に保湿しましょう。保湿の際は、指をやさしく滑らせながら、 鼠径部もマッサージすると、血流が改善してより乾燥ケアにつながります。

こちらの記事では、フェムゾーンを保湿する際のマッサージのポイントを図解つきで解説しております。
誰にも言えないフェムゾーンの悩み...今日からできる対処法


フェムゾーンも顔と同じく、"洗ったら保湿"を徹底したいですね。特に更年期の方は、女性ホルモンの減少によってフェムゾーンの皮膚も乾燥しやすくなっている場合があります。バスタイムでの丁寧なケアを積み重ねて、快適な日々を目指しましょう!

40代以降のフェムゾーンケア

今回の調査では、フェムゾーンの悩みがある人のなかでも「フェムゾーンケアに関心がある」と答えた人は、40代が一番多いという結果となりました。

40代以降はホルモンバランスの変化によってフェムゾーンの悩みが増えます。

40代以降でよくあるフェムゾーンの悩み

  • 乾燥
  • 自浄作用が弱まる
  • 炎症に弱くなる
  • 尿漏れなどで肌がムレやすくなる

女性ホルモンが減少すると、肌や粘膜が乾燥しやすくなります。フェムゾーンも例外ではありません。
また、女性ホルモンの分泌が減ると同時におりものの量も減少し、フェムゾーンに影響を及ぼすことがあります。おりものが減ることで自浄作用が低下し、炎症が起きやすくなるのです。

さらに、更年期以降に悩まされることの多い尿漏れも、間接的にフェムゾーンの悩みの要因となり得ます。尿漏れ対策のための尿漏れパッドや生理用ナプキンを長時間使用することで、肌がムレやすい状態になります。

結果、雑菌が繁殖し、自浄作用が低下したフェムゾーンで炎症やかゆみを引き起こすといった事態にもつながりかねません。

これまでの年齢とは違った、特有の悩みが出てくる40代以降のフェムゾーンケアでは、以下の4つの基本を押さえましょう。

40代以降のフェムゾーンケアのポイント

  1. フェムゾーン用の洗浄剤を使用する
  2. 正しい洗い方を習慣化する
  3. フェムゾーン用ジェルなどで保護する
  4. 骨盤底筋を鍛える

フェムゾーン用の洗浄剤を用いて正しく洗い、ケアアイテムで保湿することはもちろんのこと、骨盤底筋のトレーニングも行いたいところです。
骨盤底筋を鍛えることで、尿漏れを抑えて、尿漏れによる副次的なトラブルも減らすことができます。

40代のフェムゾーンのお悩みやケアについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

女性ホルモンが左右するフェムゾーンは40代が分岐点!?

今日からフェムゾーンケアをはじめよう

今回は、「フェムゾーンケア(デリケートゾーンケア)に関する調査2023」の内容を振り返りながら、フェムゾーンケアのメリットや適切なケア方法をお届けしました。

フェムゾーンに悩みを抱えている人が多いものの、日本ではまだフェムゾーンを正しい方法でケアしている人は少数派だというのが現状です。フェムゾーンを適切にケアすることで、日々の悩みから解放され、心地よい毎日を過ごせるようになるという声も調査によってわかりました。

今日からフェムゾーンケアに意識を向け、まずは正しい洗い方から始めてみてはいかがでしょうか?

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
フェムケア
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この記事は、働く女性の医療メディア
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