更年期症状?それとも貧血?更年期の貧血は見極めが重要

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寝ても疲れがとれない、イライラする、動悸や息切れがある――典型的な更年期症状のように見えるこうした不調が、実は貧血に起因していることがあるといいます。
心身の変化を更年期と結び付けて考えがちなILACY(アイラシイ)世代は、水面下で進行する貧血に気付きにくく、知らず知らずのうちに体にダメージを溜め込んでしまうことも。

「月経があって更年期症状もある人は、貧血のチェックを忘れずに」と呼びかける浜松町ハマサイトクリニックの婦人科医師・吉形玲美先生に、更年期世代が気を付けるべき貧血についてお話を伺いました。

貧血による不調と更年期症状は区別しにくい

――月経がある女性にとって、貧血は比較的身近な疾患ですよね。更年期世代に入って、特に注意すべきことがあれば教えてください。

更年期以降は、月経周期や月経量の変化によって、重い貧血を引き起こすことがあります。月経の期間や量の変化に気を配り、昼間でも夜用のナプキンが必要で数時間もたなかったり、経血量は少なくてもダラダラと月経期間が長くなったりする場合は、すみやかに医療機関を受診しましょう。

また、貧血によって起こる症状と、更年期症状との見分けがつきにくいことは、この世代特有の注意点だと思います。

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――貧血の症状と、更年期症状は似ているのですか?

貧血というとめまいや立ちくらみをイメージする人が多いと思いますが、

・イライラする
・疲れやすい
・めまいがする
・なぜか気持ちが落ち込む

といった、自律神経の乱れに近い症状が現れることもよくあります。

更年期世代がこうした症状を自覚した場合、何よりも先に更年期症状だと思うのではないでしょうか。

「最近なんとなく体調が悪いけど、更年期かな」「歳のせいか疲れやすいな」と思っていたら、実は貧血だった...といったケースが往々にしてあるのはそのためです。実際、貧血の治療をしたら、不定愁訴が嘘のようになくなった人もいるんですよ。

――日々の不調を更年期症状と結び付けて考えがちな世代は、確かに気付きにくそうですね。

しかも、女性は月経があって貧血に強いので、重度の貧血でも意外と普通に暮らせている人が多いんです。慢性的な貧血で、体が慣れてしまうんですね。

血液検査の数値を見ると明らかに低くて輸血が必要なほどなのに、患者さん自身は「そういえば疲れやすいかも」といった程度で、貧血の自覚がないことも珍しくありません。

こうした患者さんは、一見すると生活に支障がないように見えますが、体には大きな負担がかかっています。

血液が不足しているということは、血液中に含まれるヘモグロビンも不足しているということ。ヘモグロビンは体の隅々まで酸素を届ける働きをしていますから、貧血状態が続くと体内の臓器が酸欠状態になり、機能を低下させる原因になります

血液検査で貧血の有無を見極めることが大切

――不定愁訴を更年期と自己判断せず、検査をすることが大切ですね。

月経がある女性に多いのは、鉄分が不足することによる「鉄欠乏性貧血(てつけつぼうせいひんけつ)」です。鉄はヘモグロビンの主成分ですから、鉄が減っているかどうかは血液検査のヘモグロビン値を見ればすぐわかります。健康診断の血液検査でもわかることですから、ぜひ確認していただきたいですね。

ただ、気を付けなければならないのは、ヘモグロビン値だけではわからない「隠れ貧血」があることです。

――隠れ貧血とは?

体内の鉄の大半はヘモグロビンの成分になりますが、一部はフェリチンという成分と結合して「貯蔵鉄」として蓄えられ、食事などから得られる鉄が不足したときに使われます。

隠れ貧血とは、この貯蔵鉄が減った状態を指すもの。ヘモグロビン値は正常なので、一般的な健診などの血液検査では見落とされがちです。隠れ貧血は、血液検査でフェリチンの値をチェックしないと判断することができません。

■貧血時のフェリチン値、ヘモグロビン値の違い

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――なるほど。隠れ貧血も含めると、貧血に起因する不調はかなりたくさんありそうですね。貧血であることがわかったら、どんな風に治療をするのでしょう。

月経がある方で、貧血も更年期症状もある場合は、貧血を治すことから始めましょう。貧血を治療せずに更年期症状の治療をしても、根本的な改善が見込めない可能性があるからです。

医療機関で処方される鉄剤の服用と併せて、食事から鉄分を補給することを心掛けてください。レバーや赤身の魚、貝類、豆、海藻類には、鉄分が多く含まれています。鉄の吸収を助けるビタミンCの豊富な食材といっしょにとると、よりいいですね。

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貧血の早期発見で、不調から抜け出そう

――貧血を早期発見できる、セルフチェックがあれば教えてください。

先程お伝えした、疲れやすい、イライラするといった不定愁訴のほか、「下まぶたの裏側が白い」「動悸、息切れがする」「頻繁に氷を食べる」といった症状にあてはまる場合は、貧血が疑われます。


1 下まぶたの裏側が白い

鏡に向かって、「あっかんべー」の要領で下まぶたを下げてみてください。下まぶたには毛細血管が多いので、十分に血液が行き届いていれば赤い色をしています。全体的に白っぽい場合は、血液が不足している可能性があります

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2 動悸、息切れがする

特に激しい運動をしたわけではなく、日常的な動作をするだけですぐに動悸や息切れがする場合は、酸素が行き届かず心臓がオーバーワークになっているかもしれません。

体がだるい、すぐに疲れてバテてしまうといった症状も同じです。


3 頻繁に氷を食べる

氷をとめどなく食べたくなってしまう症状は、貧血の人によく見られます。鉄分の補給で治まることが多いため、貧血との関係が深いといわれていますが、因果関係はまだわかっていません。

冷凍庫の氷を全部食べてしまう、氷を噛んでいないと落ち着かないといった氷への依存が認められるときは、貧血を視野に入れて検査してみましょう。

――氷を食べたくて仕方がないという症状が、まさか貧血によるものだとは思いませんでした。

貧血の裏には、子宮筋腫や子宮内膜症といった婦人科疾患のほか、消化器疾患、白血病など、重大な病気が隠れていることもあります。「もしかして」と思ったら、ぜひ早めに検査をして、適切な治療を始めてください。

ちなみに、急に立ち上がったり、長く立っていたりしたときに感じるめまいや立ちくらみは「脳貧血」と呼ばれるもので、医学的な貧血とは異なります。貧血の有無は、きちんと血液検査をして確かめることが大切です。


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浜松町ハマサイトクリニック
ハイメディック東京日本橋コース

SUPERVISERこの記事を監修した人

吉形先生

PROFILE

吉形 玲美 (よしかたれみ) 医師

医学博士/日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
専門分野:婦人科

1997年東京女子医科大学医学部卒業
臨床の現場で婦人科腫瘍手術をはじめ、産婦人科一般診療を手掛ける傍ら、女性医療・更年期医療の様々な臨床研究に携わる。女性予防医療を広めたいという思いから、2010年より浜松町ハマサイトクリニックに院長として着任。現在は同院婦人科専門医として診療のほか、多施設で予防医療研究に従事。更年期、妊活、生理不順など、ゆらぎやすい女性の身体のホルモンマネージメントを得意とする。

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※掲載している情報は、記事公開時点のものです。

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