太りやすくなる更年期...低下した代謝を改善するには?

コラム・心地よいわたし

40代に入ったあたりから、食事の量は変わっていないにもかかわらず、体重が増えてきたと感じる人も多いと思います。そのおもな原因として考えられるのは代謝の低下ですが、そこには加齢に伴う女性ホルモンの減少だけでなく、筋肉量の減少も深く関係しているといわれます。

今回は、更年期の正しい情報と対策を伝えるNPO法人「ちぇぶら」の代表理事で、更年期ケアインストラクターの永田京子さんに、代謝を改善して太りにくい体につなげるエクササイズを教えていただきました。

20歳を過ぎてから減り続けていく筋肉量

――40歳前後から太りやすくなるという話はよく聞きますが、それはどうしてなのでしょうか?

おもな原因は代謝の低下ですが、これには筋肉量の減少が関係しています。というのも、筋肉はカロリーを消費してくれるものですが、筋肉量は20歳を過ぎると徐々に減少していくんです。

さらに、40代に入って女性ホルモンが減ってくると内臓の働きが弱くなり、内臓の代謝も落ちてしまいます。食べる量が変わっていないのに太るというのは、こうした要因が重なって体全体の代謝が落ちてしまうのが原因といえます。

――筋肉量が20歳頃から減っていくというのは驚きです。

何も運動をしていない人の場合なので、すべての人がそうとは言い切れません。若い頃はまったく運動していなかったけど、50代、60代になって運動するようになったら意外と筋肉量をキープできているというケースもありますから。

一方で、40代女性は運動習慣のある人が少ないというデータもあります。運動しない理由として最も多いのは「忙しいから」。また、「そもそも運動が好きじゃない」「何をしたらいいのかわからない」という声もあります。

■運動習慣のある者の割合(女性)

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※厚生労働省「平成30年 国民健康・栄養調査結果の概要」

――40代は仕事や子育て、親の介護など、さまざまなことが重なってくる時期でもあるので、ある程度は仕方がないのかなとも思います。

そうですよね。でも、60代女性の運動をしない理由の多くが、「足腰が痛くて運動ができないから」なんです。このことから推測できるのが、40代のときに運動しなかったことが、60代になって響いてきてしまう可能性が高いということ。なので、更年期の時期にも重なる40代はすごく大切なんですよ。

筋肉量をアップさせることで代謝のアップにつながるのはもちろん、その先のご自身の人生にも影響してくると思います。

腸腰筋(ちょうようきん)と大腿四頭筋(だいたいしとうきん)を鍛えて代謝の低下を改善!

――では、代謝の低下を改善するエクササイズを教えてください。

今回ご紹介するエクササイズは「お尻歩き」。脇腹の筋肉を縮めたり伸ばしたりして、足踏みならぬ"尻踏み"をします。

このエクササイズで鍛えられる筋肉は大腰筋(だいようきん)と腸骨筋(ちょうこつきん)といって、2つ合わせて「腸腰筋」と呼ばれる筋肉です。また、ももの内側にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)を鍛えることもできます

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これらの筋肉は、体の中でも比較的大きい筋肉になりますので、エクササイズを続けることで効果を実感しやすいと思います。

<代謝の低下を改善するエクササイズ>

1. 床に足を伸ばして座ります(足を伸ばせない場合は、軽くひざを曲げてもOK)。

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この際、猫背や反り腰にならないようお腹周りを意識し、骨盤を起こした状態で行いましょう

2. 左右交互にお尻を上げ、お尻歩きで前に8歩(8尻)進んだら、お尻歩きのまま後ろに下がり、元の位置に戻る。

お尻を引きずるのではなく、しっかりとお尻を引き上げながら尻踏みするのが効果を引き出すコツ。

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前に8歩(尻)進んだら、同じ要領で後ろに8歩(尻)下がって元の位置に。

坐骨が床にあたって痛い場合は、厚めのマットを敷いてください。

このエクササイズは、1日4セット行いましょう。

――お尻歩きが代謝の改善につながるのはなぜでしょうか?

先程もお伝えしたとおり、代謝が低下する原因のひとつは筋肉量の減少。代謝の低下を改善するためには筋肉を鍛える必要がありますが、中でも大きな筋肉を鍛えることで、効率良く筋肉量を増やせます

それだけでなく、腸腰筋は骨盤の内側についているため、腸腰筋を鍛えると骨盤の中がポカポカしてきますし、姿勢にも影響するんですよ。内臓の働きには姿勢も重要で、腸腰筋を鍛えてあげると、骨盤がまっすぐ起きた状態をキープしやすくなるんです。

これらが相まって内臓の動きが活発になり、代謝を改善することにつながるのです。

――腸腰筋を鍛えることがポイントになるんですね。

そうですね。腸腰筋は腰にもつながっている筋肉なので、腰痛の予防にもなります。ほかにも、高齢になると足も弱ってきますから、若い時期からこの筋肉を鍛えることで転倒しにくい足腰を保てるなど、代謝低下の改善以外にもメリットがあります。

最後に、代謝の低下を改善するのにおすすめのツボをご紹介しますね。

<代謝低下の改善につながるツボ>

太渓(たいけい)

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内くるぶしとアキレス腱のあいだのくぼみが「太渓(たいけい)」です。このツボには、代謝を上げる効果が期待できるほか、冷え予防にもつながるといわれています。

ここを、気持ちいいと感じる程度の強さで5秒×5回寝る前に押してあげると、体が温まるのでおすすめですよ。

年を重ねるごとに代謝が下がりやすくなってしまうのは仕方のないことです。しかし、日頃からここで紹介したエクササイズやツボ押しを実践することで、代謝の低下につながる筋肉量の減少を抑えることが期待できます。

無理のない範囲で、ぜひ試してみてくださいね!


お話を伺ったのは...

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永田京子(ながた・きょうこ)さん

兵庫県出身、愛知県小牧市在住。2児の母。東映アカデミーに所属し、役者として舞台やドラマなどで活躍した後、ピラティスや整体、経絡、アロマ、リフレクソロジーなどを学び、ピラティス指導者、産後ケアのインストラクターとしての活動を開始。受講者の声と、更年期障害が悪化して苦しむ母を見ていた経験から、女性ホルモン・更年期の正しい情報と対策を伝えるNPO法人「ちぇぶら」を創設した。「ちぇぶら」は更年期を英語でいう「the change of life」の意。
初の著書「女40代の体にミラクルが起こる! ちぇぶら体操」(三笠書房)が発売中。

NPO法人ちぇぶらホームページ
YouTube「ちぇぶらチャンネル」

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女40代の体にミラクルが起こる! ちぇぶら体操」(三笠書房)
著:永田京子 定価:1,400円+税




※掲載している情報は、記事公開時点のものです。

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